中古住宅の評価方法

中古住宅の評価方法

これまで中古戸建住宅は、築20年程度で価値が一律ゼロになるという市場慣行を前提とした評価を行っていました。これを、建物本来の機能に着目した価値(使用価値)を評価する方法に切り替えていこうと、仲介業者向けの「戸建住宅価格査定マニュアル」が改定されました。
中古住宅売買における価格査定が、新たな査定マニュアルに基づいて行われるようになると売り手、買い手双方にメリットがあることになります。したがって、新たな査定マニュアルの普及には売り手、買い手である消費者の行動がカギを握るのではないでしょうか。

中古住宅の評価方法の見直し

近年、中古住宅の流通をさらに増やそうと国と業界が一緒になって様々な取り組みを行ってきました。それは、これまでの「住宅を作っては壊す」社会から、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く大切に使う」社会へと移行することを目的にしています。
中古住宅の評価方法の見直しもその一つです。評価方法とは、中古住宅を売る際の価格査定や、融資する際の担保評価の方法です。特に戸建て住宅は、築20年程度で価値が一律ゼロになるという市場慣行を前提とした評価を行っていました。したがって建物の状態がどんなに良くても耐用年数は20年程度で、築20年経過すると、その価値はゼロ、ほぼ土地の評価額のみで価格が決まってしまいました。
しかし、同じ築20年の住宅でも、日頃の手入れが行き届いていて状態がよいものや、リフォームを行って新しい建材や設備を導入している住宅もあります。これらも一律に耐用年数を20年程度として評価するのは良質な中古住宅の流通を阻害する要因の1つと考えられています。
そこで、国土交通省は2014年3月に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を定めました。これは、これまでの評価方法から、建物本来の機能に着目した価値(使用価値)を評価する方法に切り替えていこうとするものです。


価格査定マニュアルの改定

「戸建住宅価格査定マニュアル」が、指針に基づいて改定されました1。このマニュアルは、仲介業者向けに開発されたもので、戸建住宅のどこをどのように評価して査定価格を導いたのか、顧客にその根拠を分かりやすく説明できるように考慮されています。

指針に基づいた改定のポイントは次の3点です。

(1)基礎・躯体の状態を5段階で評価し、それぞれ耐用年数を設定。

(2)基礎・躯体の劣化状況の判定を評価に反映、内外装・設備のリフォームした部位毎に耐用年数を延伸。

基礎・躯体は柱や梁、それらを支えるコンクリート構造部のことです。内外装・設備は、屋根、壁、床、天井などの内装材、外装材と風呂、キッチン等の設備のことです。

(1)基礎・躯体の耐用年数は最大100年とし、最低でも、30年としていることは、これまでと大きな違いがある。

(2)の劣化状況については、専門業者の住宅診断を受け、状態が良ければ耐用年数を延伸する仕組みが採られている。さらに、専門業者の診断でなくても、日頃の点検・補修が行われていることが認められれば、評価点が加えられる。

(3)の内外装・設備では部位によって耐用年数が異なることから、部位毎に設定できることがポイントだ。リフォームした部位だけを評価できる点も実際的と言える。


価格査定マニュアルの普及に向けて

今後は、この新たな査定マニュアルを普及させていくことが重要になります。現状では、全ての仲介業者がこの査定マニュアルを使用しているわけではありません。

実際の住宅売買における価格査定が、新たな査定マニュアルに基づいて行われるようになることで、売り主は、大切に手入れをしてきた住宅を適正な価格で売り出すことができます。買い手にとっては、良い状態の住宅であることが容易に判断でき、安心して購入することができるようになります。このように売り手、買い手双方にとってメリットがあるということです。

したがって、新たな査定マニュアルの普及のためには、中古住宅の売り手、買い手である消費者の行動が重要だと思われます。消費者は、少なくとも売買の過程で新しい査定マニュアルを使って評価したものかどうかを気に掛け、仲介業者に確認することが必要です。